b型肝炎ワクチンは3回接種が必要

悪化すると慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんなどにつながる恐れもあるb型肝炎。この病気はワクチンで事前に予防することができます。ただし十分ワクチンの効果を得るためには、3回摂取しなければなりません。またb型肝炎ウイルスのワクチンの場合、3回摂取した後も抗体ができたか確認し、必要な場合は再度接種が必要になります。

再度接種が必要になる基準を含め、b型肝炎ウイルスのワクチンについてみてみましょう。

b型肝炎はウイルス性肝炎の一種

肝臓内にウイルスが侵入すると、免疫機能がウイルスを排除しようと肝臓を攻撃し始めます。すると正常な肝臓の組織が炎症を起こし、食欲不振・全身倦怠感・嘔吐・黄疸・褐色尿といった症状が現れるようになります。この状態がウイルス性肝炎です。

この原因となるウイルスは遺伝子の型によってさらに何種類かに分類されます。ウイルスは型によって症状・感染経路・感染力が異なりますが、b型肝炎はそのウイルスの内の一つ、b型肝炎ウイルスによって起こります。b型肝炎ウイルスの場合、主に体液・血液を介して感染します。

そのため輸血・注射器の使いまわし・血液の付着した道具の共有・性行為等で感染する恐れがあります。なお同様の感染経路をもつものにc型肝炎ウイルスもありますが、感染力はb型肝炎ウイルスの方が強いです。c型肝炎ウイルスの場合は母子感染のリスクはほとんどありませんが、b型肝炎の場合は母子感染するリスクが高いです。

b型肝炎ウイルスは感染力が強いため、b型肝炎を発症させないためには事前の予防が重要となります。

幼い頃に感染するとキャリア化する恐れも

b型肝炎ウイルスの場合、感染した時期によって症状の現れ方が異なるという特徴を持っています。ある程度成長してからb型肝炎に感染した場合、1か月から半年間の潜伏期間を経て急性b型肝炎を発症することが多いです。

ただし急性b型肝炎を発症した後、しばらく経つと体内で抗体が作られ、自然に症状は治まっていきます。抗体ができた後はウイルスの活動は弱まり、感染リスクも低下します。さらに人によっては症状が現れないままウイルスが体内から消えている場合もあります。

一方母子感染などで幼い頃にb型肝炎に感染した場合、すぐに症状は現れません。幼い頃はb型肝炎ウイルスと肝臓の細胞が共存状態にあり、免疫機能も反応しません。しかし年齢と共に免疫機能が発達すると、次第にb型肝炎ウイルスが異物だと判断するようになります。

すると免疫機能がb型肝炎ウイルスを攻撃、肝臓に炎症が起きるようになるのです。この場合もしばらく炎症が起きた後、症状が治まることが多いです。

ただし人によってはその後もb型肝炎ウイルスが体内に残り続けてしまうことがあります。この状態が「無症候性キャリア」です。無症候性キャリアは成人してからb型肝炎ウイルスに感染した場合も移行する可能性があります。

ですが幼い頃にb型肝炎ウイルスに感染していた人の方が、炎症が収まった後も無症候性キャリアに移行する可能性は高いです。

無症候性キャリアは悪化の恐れも

b型肝炎ウイルスが体内にいるものの症状が現れない状態のことを無症候性キャリアと呼びますが、この状態になった場合経過観察が重要となります。無症候性キャリアは、症状が現れないまま一生を終えることも少なくありません。

一方で、自覚症状がないまま肝臓の機能が悪化、肝硬変や肝臓がんに移行することもあります。特にアルコールや薬の服用は肝臓に負荷がかかりやすく、無症候性キャリアの方の場合、肝機能の悪化につながりやすいです。b型肝炎ウイルスの場合、症状が見られなくなったからといって必ずしも安心できるものではありません。

b型肝炎ウイルスが体内にいる場合、常に経過観察が重要となります。少しでも肝臓への負荷を減らすためにも、まずはb型肝炎ウイルスに感染しないように心掛けましょう。

b型肝炎はワクチンで予防できる

b型肝炎は感染力が強く、症状が治まった後も無症候性キャリアに移行する可能性があります。

少しでもb型肝炎を回避するためには、b型肝炎ウイルスに感染しないことが重要です。b型肝炎ウイルスは主に体液・血液を通じて感染するため、まずは感染経路をできるだけ断ちます。

そして予防策として有効なのが、b型肝炎のワクチン接種です。b型肝炎はワクチンが開発されており、接種することで感染を防ぐことができます。b型肝炎ワクチンは、b型肝炎ウイルスの外殻を構成するタンパク質、HBs抗原に似た形をしたタンパク質を投与します。

HBs抗原に似たタンパク質を何度かに分けて投与することで、体内ではHBs抗原に対する抗体が作られます。一度抗体が作られることで、体内に本物のb型肝炎ウイルスが入ってきた時もすぐに対処、追い出すことができるようになります。

ワクチンを接種することで抗体が作られ、ほぼ確実に感染を防ぐことができるようになるのです。

b型肝炎ワクチンは3回接種が必要

b型肝炎はワクチンを接種することで予防することができます。ただしワクチン接種は1回行っただけでは効果は出ません。十分効果を得るためには、3回接種する必要があります。まず1回注射を打った後、約4週間空けて2回目を接種します。

2回目を接種してから約2週間経過すると、体内で抗体が作られるようになります。この状態になってはじめて、身体がb型肝炎ウイルスに対抗できるようになったといえます。ただしこの後もう一度ワクチンを接種しないと、約半年後には抗体の機能が低下し始めます。

そこで最初のワクチン接種から5~6か月後に、3回目のワクチン接種を行います。こうすることで抗体の機能は長期間保たれるようになります。なお成人の場合、1回に10マイクログラムずつワクチンを投与していきます。

新生児・幼児の場合もワクチン投与の期間は同じですが、投与する量が異なるので注意が必要です。

母子感染の恐れがある場合はすぐにワクチン接種

b型肝炎ウイルスは、母親がb型肝炎ウイルスを保有していた場合、母子感染する可能性が高いです。幼い頃にb型肝炎ウイルスに感染すると、ある程度成長するまで症状が現れにくく、その後無症候性キャリアに移行する可能性が高く、できるだけ早期に対応する必要があります。

そのため母子感染の可能性が高い場合には出生直後、遅くても48時間以内にb型肝炎のワクチンを一度投与します。その後生後1か月・生後6か月の時点でそれぞれワクチンを同量投与していきます。

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新生児の場合は追加接種もある

母子感染の恐れがある場合、生後6か月までの間に3回ワクチンを接種します。こうすることでb型肝炎ウイルスの感染を防ぐことができるのですが、新生児の場合、その後抗体ができたか確認する必要があります。そこで生後9か月から12か月をひとつの目安として、b型肝炎ウイルスに対する抗体ができているか確認していきます。

まずHBs抗原が陽性の場合、既にb型肝炎に感染している可能性が高いです。この場合はb型肝炎ウイルスに感染していないかさらに細かく調べる必要があります。

一方HBs抗原が陰性で、HBs抗体が一定量以上ある場合、十分b型肝炎ウイルスに対する抗体はできていると判断されます。

一方HBs抗原は陰性であるものの、HBs抗体の量が少ない場合は、ワクチンを追加で摂取する必要があります。この場合、再度b型肝炎のワクチンを間隔を空けながら3回接種、最後の追加ワクチンの接種から1・2か月経過した頃に、再度抗体ができているか確認します。

もしこの時点で十分HBs抗体があることを確認できた場合は、接種終了となります。一方HBs抗原は陰性であるものの、HBs抗体が十分に見られない場合は、「無反応例」として専門機関への受診を勧められます。

成人でb型肝炎ワクチン接種が必要な場合

b型肝炎ワクチンを接種し、体内に抗体ができると高確率で予防することができます。母子感染の恐れがある場合は早急に接種する必要がありますが、成人した人の中でも早急にワクチン接種した方が望ましい場合があります。

例えば医療従事職・消防隊員等のように、日頃から他人の血液に触れる機会が多い人は、b型肝炎ウイルスに感染するリスクも高いです。建設現場など、出血を伴うケガをしやすい職業についている人も、輸血により感染する恐れがあります。

さらに海外に行く場合、国によっては医療環境があまり良くなく、b型肝炎ウイルスに感染しやすい地域もあります。このように成人でもb型肝炎ウイルスに感染しやすい環境にいる人は、事前にワクチンを接種して予防するようにしましょう。